騒音の告知義務は不動産売却では必須?判例を見ながら判断基準を考察!


売り出し中の中古住宅の隣人が騒音を出す人で…

売りたいマンションの上階の子供たちが元気すぎてうるさい…

前面道路を大型トラックが往来するので騒音がすごい…

こういったケースは実によくあります。

そんな物件を売却する際は「騒音問題あり」と、必ず告知しなければいけないのでしょうか?

過去の判例も参考にしながら、不動産売却の騒音の告知義務について考えてみたいと思います。

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不動産売却で騒音の告知義務は必須?

環境庁が発表している「騒音の基準値」のデータによると、住宅地の日常生活で望ましい音の大きさは昼間・55デシベル以下、夜間・45デシベル以下となっています。

例えば、家庭内で発生する色々な生活音を挙げてみますと…

・エアコン=41~59 デシベル

・洗濯機=64~72デシベル 

・掃除機=60~76デシベル 

・テレビ=57~72デシベル 

・子供のかけ足=50~66デシベル 

・話し声(日常)=50~61デシベル 

人によって、あるいは時間帯や音が続く状況によって感じ方は違うと思いますが、だいたい60デシベルを超えると、隣に住んでいても「うるさい」と感じるのではないでしょうか?

とは言え、音の大きさを毎日測定するわけにもいきませんから、あくまで参考ですが…。

 

売却不動産の騒音についての告知義務は、その範囲がはっきりと定まっているわけではありません。

ただし、仲介業者が作成する重要事項説明書に「物件状況告知書」という書面も入れることになっており、その中にある「騒音・振動・臭気等」という欄には、一般的な判断から売主が気になっている点を記入することになっています。

この“一般的な判断”に明確な線引がないため、個々の判断にも差が出ることでしょう。

 

そこで、後々のトラブルを避けるために、以下の点を心掛けるとよろしいかと思います。

・住んでいる間に継続的に気になった騒音については告知する

・買主(または検討者)が契約締結するorしないを判断する上で影響がありそうだと予想できる騒音は告知する

・「騒音・振動・臭気等」欄の記載内容について仲介業者によく相談する

関連記事:不動産売却の売主負担&登記費用の内容は?古い空き家を売る際の注意点ほか

 

一時的に子供が騒いだとか、一時的にテレビの音量が大きかった程度でしたら告知する必要はないと思いますが、“特異性のある騒音”が継続するようでしたら告知した方がいいですね。

直接、買主(検討者)に伝えづらければ仲介業者を通じて話してもらい、その告知が確実に伝わったか(書面化されたか)を確認するようにしましょう。

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騒音の告知義務の参考になる判例を2つ紹介!

騒音問題に関連した判例を2つ紹介します。

売主の告知義務について考える参考になると思います。

 

【マンション上階から聞こえる生活音に耐えられない!】

(神戸地裁・平成14年5月31日判決)

●分譲マンションの1室を7,000万円で購入した男性が、上階の給排水音・放尿音などに耐えられないとして、売主業者に契約解除と代金返還を求めた

●販売パンフレットには「通常マンションのワンランク上のハイグレード」「快適さを極限まで追求」といった旨の記載があった

●すぐに売主業者は遮音工事などの対応をしたものの、男性は「設計・施工の時点で騒音対策がされていない欠陥住宅だ」と訴えた

●裁判所は、パンフレット記載の言葉はセールストークでよく見かけるもので、防音性・遮音性を保証したものではない―と判断

●また、居室内で測定された音の大きさは最大32デシベルだったため、欠陥住宅とまでは言えず、男性の訴えは退けられた

 

【隣人が子供嫌いという説明は無かった!】

(大阪高裁・平成16年12月2日判決)

●一戸建を2,280万円で購入した買主だったが、隣地の住人から「子供がうるさい」「追い出してやる」などと言われ、逆にステレオの音量を大きくしたり、建物にホースで水をかけられたりした

●その隣人は、売主が住んでいる当時から極端な子供嫌いで「子供を黙らせろ」と苦情を言っては、売主の洗濯物に水をかけたり、泥を投げたりしていたことが発覚。売主が自治会長や警察にも相談した経過があった

●契約締結時、仲介業者が用意した「物件状況告知書」には「隣人より騒音による苦情があった」という記載はあった。しかし、買主が売主に対して「本当に近隣に問題はありませんか?」と質問したところ、売主は「問題ありません」と返答していた

●裁判所は、隣人との出来事について売主は買主に説明する義務があり、物件状況告知書にある記載だけでは不十分と判断。売主は買主に損害賠償すべきだと命じた

●仲介業者も説明の必要性を知りながらしていなかったため、説明義務違反として売主と連帯して損害賠償責任を負うことになった

 

1つ目の判例では、買主の訴え自体は退けられているものの、売主の「ハイグレード」「快適さを極限まで追求」といった“完璧な物件”を想起させる言葉は誤解を招くことがわかりました。

また、2つ目の判例からは、“言いづらい事実”こそ、言わないと売却後のトラブルに発展することが学べますね。

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騒音の告知義務は不動産売却では必須?…まとめ

①騒音の感じ方は個々に異なるが、買主が契約する・しないを判断する材料に当てはまりそうな“特異性”のある事実は告知すべき

②分譲マンションのような上下隣が接している物件は騒音トラブルが多いので、特に注意が必要

③仲介業者を介在させているからといって、売主の説明責任が免除されるわけではない

④物件にマイナス面がないような宣伝文句・アピールは避けた方がいい

⑤過去に騒音トラブルがありながら「問題ありません」と虚偽の説明をしてはならない

 

関連記事:自然死,孤独死の家売却…告知義務はある?土地(更地)にした場合は?

 


2018年01月19日 | Posted in 売主の責任・負担について | タグ: Comments Closed 

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