空き家買取業者に売却すると損?!仲介との違い&メリット,デメリットは?
「空き家買取業者に家を売却すると損すると聞いたけど本当?」…という質問を受けました。
この意図するところは、仲介業者を挟んで一般の買主に売却するよりも、買取専門業者に売却した方が価格は安くなるという点を心配しているのでしょう。
価格だけにフォーカスするなら、確かに買取業者の方が安くなります。
しかし、最終的な“損か得か”は「所有者さんの考え方による」という回答になります。
そこで今回は、買取業者と仲介業者を利用して不動産を売却する際の違いや、メリット・デメリットについて整理したいと思います。
ちなみに、空き家の買い取り事例が最近増えているので「空き家買取業者」と表記しますが、分譲マンションや土地のみでの買い取りも行っています。
空き家買取業者に売却するメリット・デメリットは?
空き家買取業者とは、所有者さんから直接購入した物件をリフォーム(土地でしたら造成)し、再度販売する事業を行う不動産会社のこと。
「再販業者」と呼んだりします。
買い取ってからリフォームするので、資金力があり、かつ銀行からの信用を得ていないと成り立たない事業です。
“売主目線”で見た場合のメリット・デメリットを挙げてみます。
【空き家買取業者のメリット】
・買い取りの査定額に納得いけば、すぐ売買契約→現金化できる(早ければ半月~1カ月以内)
・ご近所さんが知らない間に売却できる
・家財や庭木があっても現況のまま買い取ってくれる
・リフォーム前提でしっかり査定してくれるので、後々の減額交渉などがない
・売却後に故障や劣化についてクレームを受けることが無い(=瑕疵担保責任無しになる。ただし、重要な事実を隠していた場合は責任を負う)
関連記事:不動産売却の売主負担&登記費用の内容は?古い空き家を売る際の注意点ほか
・仲介手数料がかからない
・売却したお金で住み替える計画も立てやすい
【空き家買取業者のデメリット】
・買取業者が自社負担でリフォームする分、仲介業者が提示してくる査定額の50%~70%の価格まで安くなる
・物件の築年数やエリアなどに条件があり、査定を依頼しても「買取不可」になる可能性がある
こうして見ると、やはり価格が安くなる点が一番の検討ポイントになりそうです。
その代わり、現況のまま売却でき、引き渡し後に「◯◯が故障しているから直して」「雨漏りが見つかった」などとクレームを受けることはありません。
空き家を仲介で売却するメリット・デメリットは?
次は仲介業者に売却を依頼した場合を見てみましょう。
仲介業者はチラシやネットで物件広告を出したり、見込み客に売り込んだりして、より高い金額で購入してくれる買主を探すのが仕事です。
売買価格がアップすれば、報酬=仲介手数料もアップするからです。
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【仲介業者のメリット】
・1社と専任契約を結ぶことで積極的に売り出してくれるので、早く買主が見つかるかも
・複数の仲介業者に声をかけることもできるので、競争させて高い金額で売却できる可能性も
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・購入希望者が何組も現れた場合は、買主を選ぶことができる
・買主と直接やり取りすることがなく、交渉事も業者が間に入ってくれる
【仲介業者のデメリット】
・いつ売れるか、確実な時期はわからない
・売れない期間が長いと減額を持ちかけられる
・インターネットやチラシで自宅が公開される期間が続く
・売却後に買主から故障や劣化についてクレームを受ける可能性がある(瑕疵担保責任あり)
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・仲介手数料がかかる
仲介業者に依頼すると、高い金額で売れるのが一番のメリット。
ただし、買取業者ではない一般の買主(=素人)に売却するため、負うべき責任が増えるイメージです。
空き家買取業者に売却するのは損なのか?
空き家買取業者と仲介業者の違いや、メリット・デメリットについて比較してきました。
あえて「メリット・デメリット」と表記しましたが、上述の通り「損か得かは所有者さんの考え方による」ということがご理解いただけたと思います。
主目的をどこに置くかによって依頼先が変わるとも言えますね。
イメージ的には「仲介」は都市部・中心市街地の物件が多く、「買い取り」は郊外の物件が多い―といったところでしょうか。
私も日ごろ不動産査定を行っていますが、仲介で売り出す査定額と買取業者の査定額の両方を提示するようにしています。
皆さん、価格が高い「仲介」を選ぶかと思いきや…買取業者を選ぶ所有者さんも半分くらいいらっしゃいます。
粗雑な言い方かもしれませんが、“即現金で後腐れない”からでしょう。
そういえば、以前、こんな珍しい所有者さんもいました。
買取業者2社にそれぞれ査定を依頼したところ30万円の価格差が出ましたが、「担当者の対応が良かったから」という理由で30万安い方の業者に売却した…。
これは私も驚きました。判断材料は、やはり人それぞれです。
とにかく、所有者さんの事情に合った売却方針を決めることが大切ですね。
高く売りたいのに買取業者に依頼したり、誰にも知られず早く売りたいのに仲介業者に依頼したりということがないよう、よく検討して業者を選びましょう。
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