所有者不明土地の管理&売買にNPOや行政が参入?!410万ヘクタールもある現状…
所有者が不明になっている土地の増加防止策を検討していた民間有識者の研究会が、1月25日に最終報告をまとめましたね。興味深い2つの提言がありました。
①管理できない土地を行政が引き取り、有料で管理するのはどうか?
②NPOなどの公益団体が、土地を放棄したい人と購入希望者をマッチングする仕組みを構築してはどうか?
つまり、行政やNPOが不動産業務の一部を行うことができるアイデアとなっていますね。本当に実施できるのか、今後の研究・実験に注目です。提言の内容を整理してみます。
所有者不明の土地の現状について
所有者不明の土地とは、相続登記が行われずに現在の持ち主がわからなくなっている宅地・農地・山林などのこと。2016年のデータによると、全国で約410万ヘクタールが該当する試算になるそう。東京ドームで数えれば、およそ80万個分です。
民法の規定では「所有者のいない不動産は国庫に帰属する」となっていますが、だからと言って「管理し切れないので、土地の所有権を放棄したい」というのは認められていません。
提言①行政が手数料を徴収して土地を管理
提言の一つは、所有者が不明、または管理できずに買い手も現れないような土地を、国や自治体が無償で引き取るシステム。
例えば、こんな流れです。所有者が遠隔地に所有している宅地を手放したいと申告 ⇒ 行政は引き取るかを判断するために物件などを調査 ⇒ 条件をクリアしたらタダで譲り受け、草刈りなどの管理を行う
その代わり、一定の期間、(元)所有者には管理手数料の請求が行くことになります。手数料の額は(元)所有者の所得に応じて設定。固定資産税を納めたくないから土地を放棄したい―という考えは受け付けないルールにするようです。土地の所有権は無いけれど、管理手数料を何年分(?)か払うのです。
行政に管理を委ねることで、地域にプラスになる後活用法が見つかるかもしれませんね。
提言②NPOがマッチング業務を行う
そしてもう一つの提言は、すぐに後利用が見込めそうな土地については、NPOなどの公益団体が管理する内容です。所有者と購入希望者のマッチングも行い、売却完了までの手続きを代行することで業務報酬を受け取ります。
この業務を行える団体は「公的色彩を持った機関」が望ましいとされているので、営利のみを目的とした不動産業者は対象から外れそう。
売主と買主の売買を仲介するには宅地建物取引業の免許が必要になりますが、この場合はどのような扱いになるのか気になりますね。
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今回の提言は、所有者不明の土地を増やさない対策を講じることが目的です。これから超高齢社会を迎え、相続人不在や土地放棄希望者も増えると思われるので、続報にも注目していきたいと思います。