大東建託の内幕 感想&ブラック企業にいた頃の黒歴史を振り返ってみた…
話題になった本【大東建託の内幕 “アパート経営商法”の闇を追う】(三宅勝久著)を読んでみました。
私には大東建託に昔勤めていた友人がいるので、以前から、相当キツイ会社だとは聞いていましたが…
ここまで酷いレベルのパワハラや詐欺取引が行われていたとは正直驚きました。
…と同時に、私自身もかつてブラック不動産会社に在籍していた頃、会社のパワハラ行為に“加担”していたことを思い出し、後悔の念に駆られた次第です。
反省も込めて記事を書きたいと思います。
【大東建託の内幕】の内容とは?
2017年3月期の売上高=1兆4971億400万円、経常利益=1240億900万円という大東建託。全国トップの管理戸数を誇る巨大企業です。
こちらのCMを観たことありますよね。
【大東建託の内幕】では主に、アパートを地主に新築してもらう「建築営業」の背後にある“闇”にスポットを当てています。
書かれている全てが真実かどうかは確かめようがありませんが、登場する関係者の証言はとても生々しいです。
・過酷なノルマと上司のパワハラに耐えられず、自ら命を絶つ社員
・営業成績を上げたいがために架空の契約をでっち上げ、受注金を自腹で払わなくてはいけなくなった社員
・自腹が重なり、ヤミ金から借金を繰り返す社員
・アパート新築の受注が取れない社員が自動的にクビになるペナルティシステム
・「追加工事」というウソの名目で営業マンから金を巻き上げられる地主
・銀行融資が未確定にも関わらず、工事に着工して地主に負担させる強引手法
…など、なかなかヘビーな内容になっております。
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(私の黒歴史)社員からペナルティを集金…
ここから先は、私の体験談になりますが…
私も約10年前、家族経営のブラック不動産会社に勤務していました。賃貸仲介の専門だったので、大東建託に比べれば売上額は小さかったものの、営業成績を上げ続けなければならないという状況は同じでした。
この会社にもペナルティがありました。お部屋を決めてくれたお客様に色々なオプション商品を提案するのですが、毎月の販売ノルマが決められていたのです。
以前、札幌のアパマンショップで除菌消臭スプレーが爆発した事故がありましたが、まさにこのスプレーの類のオプション商品のことです。
で、商品ごとの販売ノルマを達成できなかった社員は、罰金として1商品につき1万円を会社に払うルールでした。
さらに最悪なことに、その罰金対象者を毎月チェックし、対象者がいる店舗まで集金に行く担当に任命されたのが私だったのです…。
この仕事は心が痛みました。法的にアウトですからね。毎月の手取り12〜13万円の若手社員からペナルティ3万円を預かったりして、本社にいる専務に届けるのです。対象になることが多かった女性社員からすれば、私は“悪魔の取り立て屋”だったことでしょう。
社長に「罰金に対する不満がみんなから出ています」と報告しましたが、「文句を言う前に売ればいいじゃないか」と返されました。
結局、上記の女性社員は会社を辞めました。
それはそうですよね。給料から家賃や食費を引いただけでも厳しいのに、毎月ペナルティが課されていたらマイナスです。
社内会議で発表された彼女の退職理由は「親の介護のため」(ウソ)でした。
◯◯さん、君の実力を伸ばしてあげられなくて本当に申し訳ない…。
(私の黒歴史)ウソの入居申込を計上…
オプション商品に限らず、とにかく数字にシビアな会社でした。
賃貸物件の入居申込が入らないと、上司から電話で1時間怒鳴られたり、社長やその娘(役員)に会議で吊るし上げられました。
すると、怒鳴られたくない私は、部下に対して強く当たるようになりました。「何としてでも申込を上げろ!」「なんで契約取れないんだ!」と。
上司のパワハラに怯えながら、自らもパワハラ発言。事務所内の雰囲気は悪くなり、みんなのモチベーションが下がりました。
部屋探しが少ないシーズンでも成績を上げないといけませんから、ついには架空の入居申込をカウントし、上司に報告するように…。
お客様に申込書を書いてもらってもいないのに「物件を気に入ったと言っていたから決まるだろう。申込1件に上げちゃえ!」。
見込み通りに決まればいいですが、ハズレたときは最悪です。
「キャンセル出た分をどうすんだ!すぐ作れ!」と上司にネチネチ詰められます。
怒られないように萎縮して仕事する→数字が上がらないから嘘をつく→嘘ついた分を埋められず怒られる…。そんな悪循環でした。
私の理不尽な説教に耐えられずに会社を去った◯◯さん(元部下)、本当に申し訳ない…。
そして私は…お客様のことより自社利益しか優先しない職場にうんざりし、独立を決意したのでした。
まとめ
【大東建託の内幕】の感想というより、私の体験談・反省がメインになってしまいましたね…。
でも、業界のグレー・ブラックゾーンを知っていただくためには、私の体験を紹介した方が伝わりやすいかな、と思った次第です。
大東建託のような軍隊式教育は、もう時代遅れです。権力で押さえ込む指導の下では、良い人材は育たないでしょう。
不動産業界は社員の入れ替わりが早いと言われますが、これは古い企業体質がまだまだ残っていることを意味しているのかもしれません。
お客様のニーズに応えた結果として報酬をいただけるという基本中の基本を、決して忘れてはいけませんね。
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