農地売買で賃借人とトラブル!補償どうすれば?…の前にまず確認すべきこと


相続した農地の売却を検討している方の参考になればと思い、この記事を書きます。

私は昨年、ある法人が地権者7人から計1,000坪の農地を買い取る売買契約に関わりました。

6区画はすんなり話がまとまりましたが、1区画だけ、地権者とそこで耕作している賃借人が揉めてしまったのです。

(地権者)「親から相続した畑だし、自分で耕作する気もない。売れる時に売ってしまいたいので、賃貸借を解約したい」

(賃借人)「こっちは親父さんから頼まれて長年耕作して来たんだから、いきなり返せと言われても困る。出てけと言うなら、それなりの補償金を請求します!」と激怒。

賃借人が一方的に文句を言っているうちに、地権者も次第にヒートアップして来て…ひとまず、保留になりました。

 

結構な額の補償金を要求しそうな勢いだったので、もし地権者の持ち出しになんてなったら売買が進まないぞ…と不安になりながら調査してみると…

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農地法の許可を得ていない賃貸借だった…

農地というのは、そのまま売買したり貸し借りする場合に「農地法3条の許可」というのが必要になります。当事者間で勝手に取引してはいけないのです。

無許可で行われた契約は無効になるほか、3年以下の懲役または300万円以下という罰則もあるほどです。

 

私は冒頭の地権者の農地について、農業委員会に確認に行きました。すると、賃貸借の登録はないこと、許可申請も出ていないことがわかりました。

口約束だけで今まで何十年も貸し借りしていたようです。

農地法に従うなら契約は無効…。「無効」とは、そもそも契約の効力が初めから否定されるという意味です。おそらく、賃借人にとってはメインの耕作地ではないと思われます。

それならば、もし賃借人が法外な金額の補償金を求めてきたら、無許可による無効を主張して対抗すればいいのでは?と気づきました。

 

実は、こうした当事者の合意のみの賃貸借はよくあることです。何人かの農家にヒアリングしてみましたが、「無許可なんて、そんな細かいこと気にするなよ。お互い了解してるんだからさ」といった感じでした。

農地の賃料は安いですし、農地法許可の手続きは面倒だからなんでしょう。

耕作してもらえれば有給荒廃地は減るわけで、農業委員会も目をつぶっている部分もあるかもしれません。

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協議の末、補償内容が折り合い解決…

一応、農業委員会に「無許可の賃貸借を解約する場合の補償ってどんなものでしょう?」と尋ねてみました。

すると、担当者は「そこは行政として何とも言えません。当事者で解決していただきたい」とのこと。

そこで、地権者に「無許可の賃貸借という点を主張すれば、そこまで補償金を払わなくてもいいかもしれませんよ」と助言。

それでも、地権者は「確かに先方の気持ちもわかる。親父の代からずっと農地を管理してもらって来たから、それなりの金額をお支払いしたいと思う。同じ地域に住んでいるからも、ギクシャクしたくないし…」。

 

その後、買主の法人担当者も加わり、地権者と共に補償できる金額を決めたうえで賃借人に提示。賃借人も時間を置いたことで冷静になり、(私の予想よりは)低めの補償金請求となったため、スムーズに話がまとまりました。

ちなみに補償内容は、買主が桃の木の補償として1本3万円×10本を、地権者が売買代金の10%を、それぞれ賃借人に支払うというものでした。

この区画の課題が解決したので、すべての売買が予定通りに完了しました。

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まとめ

賃借人にそのまま農地を売却できればいいですが、そうでない場合は、賃借人の理解を得ることが大切です。

親から相続した農地ですと、地権者が賃貸借の経過を詳しく知らないケースもありますので、まずは農業委員会に登録があるのか確認してみてください。

その上で、賃借人との交渉の方向性を決めてから、機嫌を損ねないような話の持って行き方をするようにしましょう。今後のお付き合いもありますからね。

農地法許可がないことを理由に、強気に賃貸借の解約を迫るのは“最終手段”と考えた方が良さそうです。

私のような宅地建物取引士や、農地法の手続きに慣れている行政書士に相談するのもいいでしょう。

関連記事:農地売却の流れ&必要書類は?税金の控除はある?農地法許可の基本ほか

 


2019年01月04日 | Posted in 上手な売却のヒント | タグ: , Comments Closed 

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