三為業者との売買で売主が注意すべき4項目とは?メリット&トラブル例も紹介!


三為(さんため)業者と売買契約をする際に、売主が注意すべき点をテーマにしたいと思います。

三為業者とは、第三者のために物件の売買契約をする不動産業者のこと。

「第三者のため」ってどういう意味?…と思ってしまいますが、シンプルに言うと物件を転売することと同じ意味です。

売却を依頼した仲介業者から、三為業者を紹介されたことがある売主もいらっしゃるのではないでしょうか。

私も以前に売主側・仲介業者として三為業者の売買に関わったことがあるのですが、ちょっとしたトラブルに巻き込まれた経験が…。

そこで学んだことを基に、売主が注意すべき4つのことをお伝えしたいと思います。

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第三者のためにする売買契約の仕組みとは?売主のメリットは?

まず、第三者のための売買契約の仕組みについてサラッと触れておきます。

扱われる物件は、一般の土地・住宅というよりも、高額で取引される賃貸アパート・マンションといった収益物件がメインになります。

三為業者は売主から物件を購入する契約を結び、同時進行で、転売先の第三者(投資家など)とも契約。売主から購入した価格に自社利益や修繕費などを上乗せしたうえで、次の買主へ売り渡します。

「仲介」という立場ではなく、あくまで「買主」であり「売主」になるわけです。

三為業者にとっては、不動産取得税や登録免許税を負担してなくていい点がメリット。

こうした仕組みを「新・中間省略登記」とも呼んだりしますが、なぜ「新」と付いたのか?という経過については、ここでは割愛します。

では、三為業者に物件を売る場合の売主のメリットは…

(メリット1)不動産のプロである業者が買うことになるので、売主は瑕疵(かし)担保責任を追わなくていい

(メリット2)大手の三為業者は多くの投資家を抱えているので、広告を出さなくても買主が見つかる

(メリット3)三為業者は指定銀行と信頼関係を築いているので、物件の評価額よりも高い融資を引っ張ってこれる可能性がある

三為業者の売買で何をトラブったのか?

私…というか、売主が三為業者とトラブルになったのは、(次の買主)の銀行ローン審査の結果が期日までに出なかったため売買契約がキャンセルになったからでした。

結果が「非承認(融資できません)」なら仕方がないのですが、この案件は「未承認(結論が出ない)」だったので、売主はすんなり受け入れることができませんでした。

しかも、次の買主のローン審査が始まってから約6カ月後の解約解除でしたので、売主は余計イライラして「半年も待たせておいて、未承認でキャンセルなんて納得できない。手付金400万円は返しません!」となり、しばらく三為業者と揉めたわけです。

もちろん、売買契約書にはローン特約が付いており、次の買主の融資審査が期日までに「承認」にならなかった場合は自動的に契約解除できる旨の記載があるので、売主の主張は受け付けてもらえません。

この期間、売主は他業者からの物件の問い合わせを一切断っていたので、釈然としないまま渋々400万円を返金したのでした…。

なぜ半年経っても審査の結論が出ないのか、はっきりした理由はわかりません。銀行も教えてくれませんでした。ただ、スルガ問題もありましたから、審査が相当厳しくなっていると思われます。三為業者も利益を盛りすぎたのでしょうか…?

三為業者を紹介した私自身も売主に申し訳ない気持ちになりましたが、その後、すぐ別の買主を探すことができたので、何とか事なきを得ました。

 

そんな経験から、三為業者との契約において、売主が承知しておくべき4つの注意点を以下に挙げます。

①売買契約・引き渡しまでの期間が長い

②次の買主の融資審査や売買契約の進捗が見えない

③融資特約による契約キャンセルがあり得る

④買い叩かれる場合もある

それぞれ、もう少し詳しく説明します。

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売買契約・引き渡しまでの期間が長い

収益物件は高額であり、買主は事業用として購入しますからアパートローンを利用するのが普通です。

マイホームの住宅ローン審査なら2カ月もあれば最終回答が出ると思いますが、アパートローンとなれば、更に1カ月くらいは多く時間がかかります。

銀行は、対象になる収益物件の担保評価・収益性・将来性などを多角的に検証するほか、買主の属性・資産状況なども細かく調べます。上述したように、スルガ問題を受けて銀行の審査も以前より慎重になっているはずです。

そこに売主と三為業者の売買契約も絡んでくるわけですから、仮に売主側と買主側にそれぞれ仲介業者も付いていたとしたら、関係者が多い分、それなりの時間を要することは容易に想像できますね。

例えば、買主(または売主)に何らかの書類提出や情報開示をお願いしたものの、仕事の都合で提出が1週間遅れた…ということが重なれば、手続きはどんどん先送りになります。

いずれにしても、売主は次の買主と直接やり取りできるわけではないので、想定より長く時間がかかる取引だと心得ておくべきです。

 

次の買主の融資審査や売買契約の進捗が見えない

契約上は、売主と三為業者との売買になりますが、あくまで次の買主の融資審査が「承認」になることが条件で成立する売買ということになります。

しかしながら、三為業者と次の買主が結ぶ売買契約の内容については、売主は詳細を教えてもらえません。

いくらで転売されるかはもちろんのこと、いくらの融資申込をしているのか、銀行審査はどこまで進んでいるのか、そういった情報も売主には報告されません。

私が関わった三為業者は東京が本社で、売主は中部地方に在住という距離感もあり、打ち合わせは電話かメールだったという部分も、売主がストレスを溜めてしまう要因になったと思います。

手続きの経過が見えず、ほぼ“待ちの態勢”が続きますので、これも承知しておくべきでしょう。

参考までですが、三為業者の自社利益は、売主から買う金額の6%くらいだとか。更にそこに(中古物件なら)リフォーム費・修繕費などが加算された金額設定で、次の買主に売り渡されます。

自社利益6%ということは、1億円の購入物件なら600万円ですね。

「けっこう盛ってるな~」と思われたかもしれませんが、少し前は20~30%乗せなんて普通にあったようですから、まだ控えめですよね。こういった金額設定も、売主には不透明なわけです。

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融資特約による契約キャンセルがあり得る

私の例にもある通り、売主と三為業者が締結する売買契約には融資特約というものが付きます。

…と言いますか、ローンを組む売買契約には融資特約を付けることが一般的。

融資特約の要点はこちらです。

・◯月◯日までに買主の融資審査の承認が得られなかったら、契約は自動的に解除になります

・自動解除になったら、それ以前に買主が売主に支払った手付金は戻してください

・◯月◯日までに買主が融資の申込手続きをマジメに行っていなかったり、虚偽の書類を提出したことで承認が得られなかった場合には、自動解除は認めません

…ということは、普通に融資審査に申込をした結果、銀行が「この人とこの物件にはお金は貸せません」と判断したら、融資特約によるキャンセルが適用となります。買主は購入資金を用意できないわけですから当然ですね。

それまでに何カ月経過していようと、売主は預かっていた手付金を返金しないといけませんので、手付金を使ってしまってはいけません。

ちなみに、融資審査が「非承認」になった場合は、必ず銀行に事実確認することをお勧めします。あるいは、融資特約によるキャンセルをする場合は、融資審査がNGだったことがわかる書面を買主から提出しなければならない-という文言を契約書に入れるのもいいかもしれません。

審査に時間がかかる分、途中で買主の気分が変わったために自己都合でキャンセルする可能性もあるので、確実に裏取り・チェックをする目的です。

 

買い叩かれる場合もある

自社利益を優先する三為業者ですと、売主の足元を見て買い叩き、安く仕入れて高く売りさばく業者もいます。

中古物件ですと、建物や設備のことを色々と突っ込んでは値切って来ると思いますので、業者の言いなりになっていると買い取り価格がどんどん安くなってしまいます。

…とはいえ、スルガ問題をきっかけに三為業者を取り巻く状況は厳しくなっていることもあり、下手な行動はできないと思われます。

また、最近は複数の不動産業者に価格査定を依頼する売主が増えていますから、1社だけの価格を聞いてそこに依頼することは少ないでしょう。やはり、売主は色々な業者から情報収集したうえで、売却方針を決めるべきですね。

関連記事:不動産査定サイトのメリットデメリットは?利用前に知っておくとスムーズ!

まとめ

今回は、三為業者との売買契約で売主が注意すべき4つのポイントについて取り上げました。

三為業者が絡む手続きは時間がかかったり、融資未承認によるキャンセルというリスクがある一方、相場よりも高く売れる可能性があることは確かです。

第三者のための売買契約を選択されるようでしたら、上記の内容をよく理解されたうえで利用してください。

融資審査の経過をゆっくり待つことができ、上手く承認が下りたら“ラッキー”くらいの気構えでいられる売主には良いかと思います。

または、他の仲介業者にも広く声をかけて直接契約できる投資家を探しつつ、融資審査を通過した買主と“早い者勝ち”で売買契約を結ぶという前約束をしておくことをお勧めします。

 


2019年01月02日 | Posted in 上手な売却のヒント | タグ: , Comments Closed 

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